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ブログ 建築

アアルトの建築[2012年4月]

投稿日時:2012/04/24(火) 23:47

フィンランドの建築と言えば、アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)の建築でしょう!
特にヘルシンキ、エスポー、ユヴァスキュラ、サユナツサロはアアルト建築めぐりに最適です。
2011年の夏にフィンランドに2週間滞在した際に訪れたアアルト建築をご紹介します。

ヘルシンキ (Helsinki)
建築リスト詳細はこちらをご参照ください。

・Riihitien talo (アアルト自邸)
ヘルシンキの郊外にあるアアルトの自邸。ガイドツアーでのみ入場可能。入口に小さなショップがあります。
住所: Riihitie 20
入場料:17ユーロ
詳細はこちら

   

・Alvar Aallon ateljee (アアルトのアトリエ)
自邸から徒歩数分のところにあります。ガイドツアーでのみ入場可能。
住所: Tiilimäki 20
入場料:17ユーロ
詳細はこちら

 

・Kansaneläkelaitos (国民年金協会)
住所: Nordenskiöldinkatu 12, Helsinki
(トラム3B または3TのKansanelakelaitos駅下車)

  

・Akateeminen Kirjakauppa & Cafe Aalto (アカデミア書店&カフェ・アアルト)
ストックマンデパートの隣にある書店と2階にあるカフェ・アアルト。カフェのイスはアアルトではなく、アルネ・ヤコブセン?!
住所: Pohjoisesplanadi 39, Helsinki

 

Kulttuuritalo (文化の家)
住所: Sturenkatu 4, 00510, Helsinki  
(トラム3Bまたは3TのPorvoonkatu駅から270m)




● エスポー(Espoo)
建築リスト詳細はこちらをご参照ください。

・Teknillinen Korkeakoulu (ヘルシンキ工科大学)
住所: Otaniemi, Otakaari 1, 02159 Espoo 

- TKK Library (ヘルシンキ工科大学図書館)
木と白色で統一された館内は、とてもオープンで温かい雰囲気です。

  

- TKK Auditrium (ヘルシンキ工科大学オーディトリアム)
授業等で使用中でなかったので、内部も自由に見学することができました。まるでコンサート会場のようです!

  

- TKK Department of Architecture (ヘルシンキ工科大学建築学部)

- TKK Domitory, Hall (学生寮、屋内体育館)


アアルト建築ではないけれど、ヘルシンキ工科大学内の必見建築

- Dipoli Center (ディポリセンター)



- Otaniemi Chapel (ヘルシンキ工科大チャペル)
学生寮と道路を挟んで反対側にあり、木に囲まれています。豪華な装飾などがなく、とてもシンプルです。真正面にある十字架が教会の外の緑の中にあります。ながーーーいイスの真ん中に座りたい時はたどり着くのが大変そう。
 Jämeräntaival 8, 02150 Espoo

  


ユヴァスキュラ (Jyväskylä)
建築リスト詳細はこちらをご参照ください。

サユナツサロ (Säynätsalo)
建築リスト詳細はこちらをご参照ください。

私たちは以下のルートでユヴァスキュラ & サユナツサロのアアルト建築をまわりました。
バスの本数が限られているので、事前にこちらで調べていくと時間が有効に使えます(行き先に住所を入力すると、バス停から目的地までのルートも表示されて便利です)。


①Muuramen Kirkko (ムーラメ教会)
住所: Kirkkotie 5, Muurame
拝観可能時間: 6~8月、月~金: 10:00~18:00

(Jyväskylä Keskusta 5 停留所からバス14Mで約23分、 Muurame Verkkoniemi th 2 で下車。 徒歩300m。)

 


↓ ムーラメ教会から 徒歩300mのMuurame Verkkoniemi th 1 停留所から21番バスで15分、 Säynätsalo 1 で下車。 徒歩200m。


②Säynätsalon Kunnantalo (サユナツサロ・タウンホール)
住所: Parviasentie 9, Saynatsalo
開館時間: 月~金 08:30~15:30 夏季は土・日も開館 13:00~16:00 

 


↓ タウンホールから徒歩100mのkunnantalo 2 停留所から16番バスで15分、Muuratsalo 下車。徒歩400m。


③Muuratsalon Koetalo (アアルトの夏の別荘「コエ・タロ」)
Muuratsalo島にあるアアルトの別荘兼アトリエ。ガイドツアーでのみ入場可能。
住所: Melalammentie 2
開館期間: 夏季のみ(6月から9月中旬まで)
入場料: 17ユーロ
詳細はこちらから。

  


↓ コエ・タロから徒歩400mのMuuratsalo 停留所から16番バスで40分、Jyväskyla大学周辺の停留所で下車。


④Jyväskylän Yliopisto (ユヴァスキュラ大学)
住所: Seminaarinkatu 15, Jyväskylä / Yliopisto 1, Jyväskylä

  
 

その他の建築写真はこちらをご覧ください。

アアルトの建築だけでなく、フィンランドには数多くのモダンで素晴らしい建築があります。
自然に囲まれて心身共にリラックスしながら、建築とデザインの旅をゆっくり楽しみたい国の1つです。

再利用[2008年11月]

投稿日時:2008/11/12(水) 17:30

ドイツで”再利用”と言えば、ゴミだけではありません!ドイツ国内を旅していると、”以前は○○だったけど、今は●●”という建物によく出会います。訪れた時に、”ここは不思議な造りの建物だなぁ...”と思った瞬間、”もしや?!”と思うわけです。特に美術館やイベント会場に多く見られ、生まれ変わった建物の歴史を知るたびに、建物の有効再利用そして新たな使い道に驚かされます。驚きの変化を遂げた(!)建物をまとめて紹介したいと思います。

Hamburger Bahnhof (ハンブルガー・バーンホフ現代美術館)
Invalidenstraße 50-51, 10557 Berlin

ベルリン中央駅の近くにある現代美術館。名前にある通り、昔はハンブルクとベルリンを結ぶ鉄道の駅(=Bahnhof)でしたが、1884年に閉鎖。その後1906年まで交通・建築博物館として使われていましたが、第2次世界大戦中に崩壊し、1996年に現代美術館として再オープンしました。

 

Berliner Kunstsalon

10/30~11/3までPrenzlauer BergのHumboldt-Umspannwerkで開催されていた、Berliner Kunstsalon。

今年は5回目の開催で、以前発電(変電)所だった場所が会場でした。

 

Preview Berlin

10/30~11/2までテンペルホフ空港の飛行機格納庫(Hanger)で開催されていたPreview Berlin。4200㎡もの広い場所に世界各地からの約60のギャラリーが作品を展示していました。会場のテンペルホフ空港は、ベルリンが封鎖された東西冷戦中(1948~1949年)、アメリカ軍などが西ベルリン市民に食糧や燃料を輸送した空港で、10/30に閉鎖されました。

 

Zollverein

2001年に世界遺産として登録されたエッセンのツォルフェライン炭鉱(Zollverein)。工場跡が現代アートとして生まれ変わっています。カフェ、ショップ、デザイン美術館も併設されています(オリジナルグッズがかっこいい!)。敷地内の建物は、1930年代にバウハウス様式で建てられたそうです。

 

Landschaftspark Duisburg-Nord
Emscherstraße 71, 47137 Duisburg

1991年にオープンしたLandschaftspark Duisburg-Nord。かつては製鉄所でしたが、現在はコンサートや夜のライトアップなどイベント盛りだくさんのアート施設です。

 

Kulturspeicher
Veitshöchheimer Straße 5, 97080 Würzburg

ヴュルツブルク中央駅から歩いて15分弱の倉庫を改築した現代アート美術館Kulturspeicher(Kultur=文化、Speicher=倉庫)。マイン川に面していて、長さ128mもある細長い建物です。中に入るなり、天井に鉄骨が見えます!所蔵作品はどれもカラフルモダンな作品ばかりでお気に入りの美術館です。

 

Kolumba - Erzbischöfliches Diözesanmuseum (聖コロンバ教会博物館)
Kolumbastraße 4, 50667 Köln

第2次世界大戦で破壊されましたが、スイスの建築家Peter Zumthorが残った古い教会の部分と新しい建築を組み合わせ、博物館として再生しました(2007年オープン)。新しい部分は古い教会の部分とできるだけ近い色のレンガを合わせて造られているそうです(デンマークの職人が手がけたそうですが、色合わせがけっこう大変だったとか)。




また、建物の”再利用”ではありませんが、驚きの使い道をしていたのが、来年オープン予定の地下鉄Bundestag駅です。残念ながら行く機会を逃しましたが、なんと地下鉄構内でモーツァルトのオペラ「魔笛」が上映されていました。そして現在は11/16までWelt Maschine(世界の機械)展が開催されています。展示物には正直あまり興味がなかったのですが(水玉のかわいらしいポスターに似つかわない科学展)、地下鉄のホームで展覧会!という発想に驚き、ワクワクしながら行ってきました。券売機もエスカレーターももう既に設置されていて、あとはオープンのみでしょうか。




ドイツのビックリ・おもしろ体験はまだまだ続きそう。。。

カイザーヴィルヘルム記念教会[2007年9月]

投稿日時:2007/09/03(月) 13:15

あっという間に9月です。私のベルリンライフも9ヶ月目に突入しました!ベルリンでは最近毎日15度前後で、長袖1枚だけでは寒いくらいです。今年は短い夏でした。街中を歩いている人の服装もすっかり秋です。8月末からベルリンの学校は新学期が始まります。8月になるとどこのデパートでも “Schulbeginn” (英語のSchool starts)のポスターが貼られ、学校グッズでいっぱいになります。例えば、かわいい絵がついた文房具、日本のランドセルのような形をしたリュックサック、お弁当箱、、、などなど。ピッカピカの1年生です!
 
先週末は、カイザーヴィルヘルム記念教会(Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskirche)のパイプオルガンのコンサートに行ってきました。いつも観光客でにぎわっているクーダム(Kudamm)という有名なショッピングストリートにあり、初めて来た時から私のお気に入りの教会です。パイプオルガンやコーラスの無料コンサートが毎週末(時々平日にも)開かれるため、1ヶ月に数回訪れています。この教会は音楽だけでなく、建物にも圧倒されます。第2次世界大戦の空襲で破壊されましたが、戦争の悲惨さを伝えるため崩れた状態のままで残されているため、塔の上の部分がありません。日本では、戦争で破壊された建物は戦争の傷跡を消すかのように新たに全く別の建物に再建設され、広島の原爆ドームのように破壊されたままの状態を残すケースはほとんどありませんが、ドイツではカイザーヴィルヘルム教会のように壊れたままの状態で残す場合、戦争で破壊された建物を元通りに修復する場合(ex. ドレスデンの聖母教会)、壊れた部分を修復し、新しいファサードと組み合わせる場合(ex. ベルリンのライヒスターク)がほとんどです。今日はカイザーヴィルヘルム教会をはじめ、戦争で破壊された状態のままで残されている建物を紹介したいと思います。
 

  
 カイザーヴィルヘルム教会(左)・聖母教会(中央)・ライヒスターク(右)
 
カイザーヴィルヘルム教会は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世を記念して1895年に建てられましたが、1943年に空襲で破壊されてしまいました。戦後この教会を完全撤去する案も出たそうですが、戦争の悲惨さを忘れないように壊れた状態のままで残すことに決まりました。残された教会の内部には、建設された当時の教会の写真、戦争で焼け野原のベルリンの街の様子の写真、教会の遺品などが飾られています。教会の横には新たに、ドイツを代表する建築家のエゴン・アイアーマン(Egon Eiermann)設計で、1963年に正6角形の礼拝堂と正8角形の鐘タワーが建てられました。礼拝やコンサートは新しく建てられた礼拝堂で行われています。アイアーマンは教会の建物だけでなく、内装やイスも手がけたそうです。礼拝堂の中は、ほぼ360度ブルーのグラスで覆われていて、さらに黒い皮の木イスが円状に置かれており、とてもモダンな雰囲気をかもし出しています。礼拝堂に入り、暗い入り口を通り抜け、このブルーのグラスを見た瞬間あまりの美しさに言葉を失います。
 
   
 
  あまりの美しさに見入ってしまうブルーグラス
 
 
 アイアーマンがデザインしたイス(シンプルだけど、教会の雰囲気にとても合っています)
 
 リンゴのマークが描かれたキャンドル
 
 教会の中の床(水玉のタイルが埋め込まれています)
 
  教会の外の道も水玉模様
 
  教会外観(正8角形のタワー)
 
ベルリンにはもう1つ、カイザーヴィルヘルム教会とは別のメッセージ性を持った廃墟寸前の建物があります。たくさんのおしゃれなカフェやショップが並んでいるオラーニエン通り(Oranien strasse)にあるタヘレス(Tacheles)です。初めてこの建物を見た時、あまりの汚さ、そして落書きの多さに危険な空気さえ感じました。けれども、いかにも観光客っぽいおじちゃんやおばちゃんが次々に建物横にある中庭に入っていきます。勇気を振りしぼり、思い切って彼らの後について入ってみました。そしてまたまたビックリ!建物の裏側は、ガラスが割れている窓、落書きだらけでポスターがぐちゃぐちゃに貼られたものがはがれ、崩れかかっている壁、壊れたイスが置いてあるカフェ、車を改造して造られたキオスク?、そしてアートの数々、、、自分は一瞬どこにいるのか分からなくなる、そこだけタイムスリップしたような場所でした。建物の中は、昼間でも薄暗く、いまだに足を踏み入れたことはありません。でもこの建物、実はベルリンの話題の建物なのです!建物の歴史を調べてみたところ、1907年に大規模なショッピングモールとして建設され、その後電機メーカーのショールームとして使われ、1933年以降はナチスに占拠されていたそうです。第2次世界大戦の空襲の被害を受けましたが、建物全体は崩壊しませんでした。戦後、建物は使われないまま放置され、その後建物の大半は解体されましたが、ベルリンの壁崩壊後、1990年に若いアーティストが占拠し、最終的な解体が阻止されました。現在は建物の中に世界中のアーティストのアトリエ、バー、劇場、映画館などがあり、ベルリンのホットスポットとしてガイドブックにも載っています。
 

  
 
ベルリンでは壁崩壊後の大規模な都市再開発によりたくさんのモダン建築が建設され、都市も整備されましたが、過去の歴史と新しい文化が入り混じり、新たな形で歴史を伝えていく建物がたくさんあります。歴史の過ちを2度と繰り返さないようにメッセージ性を持った建物やメモリアルが今でも新たに建設し続けられています。今後もいろいろな視点からベルリンの建築を紹介していきたいと思います。