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Integrationskurs (統合コース)

2009/10/19

昨年のちょうど今頃はベルリンの外人局で滞在許可申請をして、Integrationskurs(統合コース)への参加を言い渡された頃。政府から委託された語学学校リスト(ベルリンだけでも10ページ以上!)をもらい、必死になって学校を選び、ドキドキしながら参加の申し込みをしたことを今でもハッキリ覚えています。そして先日545時間のコースが終了し、いよいよ本格的にベルリンライフがスタートしました。

私と同じようにドイツでの生活をスタートさせた方たちへの参考になればと、Integrationskurs(統合コース)について私の体験をもとにまとめてみました。(国際結婚の手続きについてはこちらから。)

【Integrationskurs(統合コース)とは?】
第2次世界大戦後の経済復興に向けて、ドイツではトルコやイタリアなどから積極的に多くの労働者を受け入れてきました。外国人労働者の募集を停止した後も、家族の呼び寄せや難民の受入れなどにより、現在ドイツの総人口のうち外国人が占める割合は8%を越えています(ベルリンでは13%以上!)。そのような背景の中で、移民のドイツ社会への統合(Integration)を強化することが重要視され、2005年1月に新移民法が施行、そして統合コースが開始しました。
この統合コースは、連邦移民難民庁(Bundesamt für Migration und Flüchtlinge, BAMF)の管轄で、ドイツ語コース(Sprachkurs) 600時間とドイツの歴史・文化・法律などについて学ぶオリエンテーションコース(Orientierungskurs) 45時間の合計645時間から成り立ちます。
コース受講対象者は、2005年の新移民法の施行以降に1年以上の滞在許可を申請した新規外国人移住者・既に長期に渡ってドイツで生活している長期滞在外国人・旧ソ連や東欧圏に移住したドイツ人子孫で、居住地での迫害や差別により1993年以降ドイツに受け入れられた後期帰還移住者(Spätaussiedler)、ドイツ語の知識がないドイツ国籍保有者などです。
コース終了時には、語学コースでは中級のB1レベルに相当するテスト(Sprachprüfung Deutsch-Test für Zuwanderer, DTZ)とオリエンテーションコースのテストを受験しなくてはいけません。

【コース内容】
語学コース(Sprachkurs)は、1モジュール100時間で計6モジュールから成り立ち、基礎コース(Basissprachkurs)300時間とそれに続くコース(Aufbausprachkurs)300時間の計600時間です。コースでは、日常生活で必要なドイツ語会話、手紙や履歴書の書き方など幅広いテーマについて学びます。ちなみに私が通っていた学校では、テキストはLangenscheidt社の"Berliner Platz 1~3" でした。コース前半は、文法中心の授業、後半は終了試験に向けて、練習問題を解いたり、口答試験のための会話練習をしたりしました。
オリエンテーションコース(Orientierungskurs)は計45時間で、ドイツの文化、第2次世界大戦以降の歴史、憲法、政治、宗教などについて広く浅く学びます。テキストはKlett社の"45 Stunden Deutschland"でした。このコースのお蔭で、ドイツ社会の仕組みが少し理解できるようになりました!

【申込みや費用について】
居住地や参加する語学学校によって申込み方法は異なると思いますが、私が行った手順は以下の通りです。

①外人局(Ausländerbehörde)から滞在許可申請時に、統合コースへの受講を義務付けられる
私の場合、多少ドイツ語の知識はありましたが、外人局の担当者と口頭でのやり取りが難しかったためこのコースを受講することになりました。ドイツ語でのコミュニケーションに問題ない方はオリエンテーションコースのみ受講します。コースへの受講義務の有無は、外国人局の担当者の判断によると思います。パスポートに貼りつけられる滞在許可書(Aufenthaltstitel)の備考に"統合コースへ即申込みと参加の義務!"と書かれている上、コース申込み後担当者に申込書を送付しなくてはいけなかったので逃れられません!ちなみに申込み期限は、滞在許可が下りた日から1ヶ月以内とのことでとても焦りました。この統合コースを受講しなかった場合は、滞在許可の再申請の際に延長が許可されなかったり、失業保険が減給されたりするそうです!

②語学学校を選ぶ
外人局からもらった何十ページもあるリストから語学学校を選びます。または連邦移民難民庁(BAMF)のHPでも検索できます。委託された学校は地域にある市民学校(Volkshochschule)やBerlitzやGoethe Institutなど民間の語学学校などですが、人気のある学校は常に定員(25人ぐらいまで?)いっぱいのこともありうるので、場合によっては授業開始まで時間がかかることもあります(とりあえず申込みさえ済ませば、外国人局に申込書を送付できます)。私は授業開始まで2ヶ月待ちました。また通学期間は、私の場合はドイツ語の基礎はできたので、最初の1モジュール(100時間)は免除され、2モジュール目からのスタートで、計530時間受講しました。クラスメイトは、ロシア人、中国人、ヨルダン人、イスラエル人、トルコ人、その他EU諸国の人たちなど国籍も年齢層もコース受講理由も様々でした。私のクラスでは比較的、配偶者がドイツ人のためドイツに新規移住してきた人たちが多かったですが、クラスによっては国や個人の事情で故郷を去らなくてはいけなかったり、いろいろな複雑な理由を抱えていたりする人たちも少なくないと思います。

③申込み
学校を選んだ後は、語学学校の担当者に連絡を取り、レベルチェックテストを受け、申込み完了です。希望の時間帯(午前・午後・夜間)や頻度(毎日または週に数回)や授業開始時期などは、担当者に相談してください。ちなみに私はBerlitzに申込み、前半は午前コース、2ヶ月間の休みを挟み、後半は午後コースで、毎日約4時間勉強しました。なぜBerlitzにしたかと言うと、民間の語学学校は通常授業料が高く、こういう機会でないとなかなか通えないからです!クラスの生徒数も最初は20人近くいましたが、最後は10人以下の少人数クラスでとてもラッキーでした。多国籍クラスにもかかわらず生徒同士仲が良く、常にみんなで助け合い、クラスの雰囲気がとても良かったです。

④費用
通常1時間の授業に対し、1ユーロ支払います。ただし低所得者(確か、配偶者の稼ぎが1500ユーロ以下)または失業者の場合は授業料の支払いが免除されます。支払額につきましては、外人局の担当者から話があると思いますので、各自ご確認ください。その他、教科書代など別途費用がかかる場合もあります。
Berlitzの場合は、1ヶ月に1回100ユーロずつ支払いをして、教科書は約20ユーロ×3冊でした。つまり授業料は通常、600時間の語学コース+45時間のオリエンテーションコースで、645時間×1ユーロ=645ユーロになります(私の場合は最初の100時間が免除されたので545ユーロでした)。支払い方法は、受付で現金・ECカード支払いまたは銀行振込みでした。

⑤その他
一時帰国などによりコースを休まなくてはいけない場合は、Berlitzの場合は各モジュール終了後に休みを申請することができました。私の場合、1ヶ月間コースを受講した後、2ヶ月近く休んだため元のクラスには戻れず、新たに次のコースを申し込みました。上記に記載した通り、人気のある学校は定員オーバーのこともあるので、休暇を予定している場合は早めに次のクラスの申込みをした方が良さそうです。コース終了期限につきましては、外人局の担当者にご確認ください。私の場合は、2年以内にコースを終了させなくてはいけないとのことでしたが、休暇をほとんど取らずコースに通い続けたので、1年以内で終了することができました。

【終了試験(Abschlussprüfung)について】
この試験さえなければ、超お気楽にコースを受けられたかもしれません。でも現実はそう甘くない!!
試験詳細についてはこちらから。

①語学コース(Sprachkurs)終了試験
中級のB1レベルに相当するDeutsch-Test für Zuwanderer (DTZ)を受験します。60%以上点数がとれればB1合格、それ以下の場合はA2資格証明書をもらいます。試験は2日間に渡り、筆記試験(Schriftlichen Prüfung)100分と口答試験(Mündliche Prüfung)約20分です。筆記試験は4部分から構成され、聴解(Hören) ・読解(Lesen)・語彙や文法(Wortschatz und Grammatik)、そして最後に短い手紙(与えられた課題に返答する)を書きます。手紙以外は全て4択または文章が正しいか、間違っているかを選ぶマークシート方式です。BAMFのHPやGoethe InstitutのHPにも練習問題が記載されています。口答試験は2人1組で行われ、自己紹介・写真やグラフについての説明(試験監督から見せられた写真やグラフについて説明する)・パートナーと一緒にパーティーや旅行を企画する(試験監督から課題が与えられます)の3部分から構成されています。
テストに合格できなかった場合は、300時間復習コースに通った後、再度無料で試験を受けることができます。ただし3度目の試験からはお金がかかります。筆記試験と口答試験のどちらか1つが不合格の場合は、不合格の試験のみ再度受験します。

②オリエンテーションコース(Orientierungskurs)終了試験
連邦移民難民庁(BAMF)のHPに記載されている250問のうち25題が出題されます。クラスメイトそれぞれが違う問題を受け取ります。テスト時間は45分で、25問のうち13問正解すれば合格です。問題はカタログからそのまま出題されるので、ひたすら暗記をしました。内容的にはそれほど難しくありませんが、語彙が難しい!コースが始まる前に少しずつ問題を解いておいた方がいいと思います。解答付きの問題がオンラインで記載されているので、これでひたすら練習しましょう!

コースが始まる前はとにかくこの大課題のせいで気が重かったのですが、終了した今となってはとてもいい体験となりました。なんせ1時間1ユーロでドイツ語が学べるなんて、こんなお得な話はありません!しかも多国籍の知り合いが増えるいいチャンスでもあります。悲観的にならず、是非楽しんでください!

なお、ここに記載した情報は2009年10月現在の情報です。各地域・機関によって手続きやコース内容が異なりますので、管轄の機関に直接お問い合わせください。

コメント


Integratinskurse、再来週から私も受けることになりました。
でもいったいどんなものなのか全然わかっていなかったので、とっても詳細にわたる情報で助かりました!

Posted by hacchi at 2010/05/09 22:15:55+09 PASS:

hacchiさん、はじめまして。メッセージありがとうございました。
Integrationskurs頑張ってください!ご質問・ご不明な点などありましたらご連絡くださいね。

Posted by Mana at 2010/05/12 04:18:49+09 PASS:

こんばんは。私は、ドイツ人との結婚を考えています。が、私はドイツ語がわかりません。コミュニケーションは英語と日本語で彼ととっております。不安ばかりですが、ドイツのアーヘンに住む予定なので彼に統合コースについて確認してもらいます☆できないできないではなく、自分でも何かしなくては!とただいま奮闘中です。無事結婚できますよーに☆

Posted by chibihime at 2011/03/29 02:17:44+09 PASS:

Chibihimeさま
ご連絡が遅くなってしまってごめんなさい。まずはご婚約おめでとうございます!
きっといろいろ不安もあるかと思いますが、大丈夫です、何とかなりますよ。私も統合コースを受ける前は不安でいっぱいでした。でもいざクラスに行ってみると、いろんな国籍の人たちがたくさんいて、友達もたくさんできたし、生活に必要なドイツ語も身につけることができました。Chibihimeさんにとってもきっといい経験になると思います。情報などお役に立てることがあればご連絡くださいね。

Posted by Mana at 2011/04/12 21:24:29+09 PASS:
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