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ブログ 2007/9

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旅行博[2007年9月]

投稿日時:2007/09/06(木) 12:15

今年もまた来週末15日(土)と16日(日)に東京ビックサイトで開催される旅行博の準備にあたって、ホルガーが来日します!私は泣く泣くドイツでお留守番です。
 
旅行博は世界各地で開催されますが、ベルリンで開催されるイベントは、世界で1番大きな旅行博イベントと言われるほど会場が広いです。準備では自転車で移動するスタッフがたくさんいるそうです。東京で開催されるイベントはその縮小版ですが、130以上もの国や地域がブースを出していて、資料がたくさんあるだけでなく、いろいろな国の食べ物が食べられたり、コンサートが行われたり、かなり大規模なイベントです。私も昨年行きましたが、日本からの観光客が多いハワイやイタリアは人だかりができていて、とてもにぎわっていました。ホルガーが担当するのは中東のオマーンブースです。今年もまた民族衣装を着たスタッフの方たちがいるのでしょうか?
 
資料をもらうだけでも、その国に行ったような気分になりとても楽しいイベントです。7月に行ったフィンランドでは、昨年フィンランドブースでもらったハンドブックが大いに役立ちました!
 
時間やお金がなくて海外に行けない方、年末の旅行の計画を立てたい方は、旅行博へ! 

ドイツとの接点[2007年9月]

投稿日時:2007/09/05(水) 23:45

ベルリンはますます秋が深まっています。冬のコートを着てマフラーをしている人が続出です!

 

昨日は再びカイザーヴィルヘルム教会に行ってきました。アルベルト・シュバイツァーが亡くなって42年目の追悼オルガンコンサートが行われました。ベルリンにある今年50周年を迎えるAlbert Schweitzer Kinderdorf(両親がいない子どもたちをサポートしている団体)が企画したイベントです。シュバイツァーは遠い昔にマンガの伝記を読んだ記憶がありますが、ドイツ人だったことまで覚えていませんでした。コンサートではオルガン演奏の他、シュバイツァーのアフリカのランバレネ(ガボンという赤道直下の国にある)での医療活動についての映画も上映されました。音楽家としても有名で、バッハ研究をしたり、病院の資金援助のために自らパイプオルガンの演奏をしたりしたそうです。1952年にはノーベル平和賞を受賞しています。以前名前を聞いたことがあったけれども忘れかけていた人が実はドイツ人、何気なく使っていたものがドイツ製、と意外に昔からドイツとの接点があったんだなあ、とベルリンで生活するようになって気がつきました。

 

   

コンサートのパンフレット(左)・カイザーヴィルヘルム教会のライトアップ(右)

 

 

日本でよく知られているドイツの会社は、車のメーカーのベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、Audi、そしてスポーツメーカーのPUMAadidas(兄弟でそれぞれの会社を経営しているそうです)、ファッションブランドのHUGO BOSS、靴のビルケンシュトック、文房具のLAMY、ハサミやキッチン用品が有名なヘンケルス、機械のボッシュやシーメンス、そして犬のダックスフントやドーベルマンやシェパード、元テニス選手のベッカーやグラフ、あとは音楽家のバッハやベートーヴェン、そして宗教改革のルターや哲学者のカント、児童文学モモの作者のミヒェエルエンデ、F1のミヒャエルシューマッハ、、、キリがないほどいろいろあります。

 

日本でドイツに関わりのある人と言えば(最近思い出した!)、森鴎外。鴎外は約4年間ドイツに留学していました。そのうち2年間はなんとベルリン暮らし。以前電車の中から‘鴎外’と大きく筆で書かれた建物を見ました。え、え?と思い、調べてみたら、なんと森鴎外記念館でした。この間そこで写真展をやっていたので、初めて行ってきました。記念館の入り口には展示棚があり、そしていきなり郷ひろみ?!「舞姫」の映画版の大きなパネルが飾ってありました。その他森鴎外の日記や写真などいろいろな資料が置いてあったり、鴎外の下宿先を再現した部屋があったり(記念館がある建物に昔本当に住んでいたそうで、なんと天井や床は当時のままだそうです)、とても充実した記念館でした。

 

 

 森鴎外記念館

 

 

みなさんの周りにもきっと気づかないで使っているドイツプロダクトがたくさんあると思うので、是非探してみてください。

カイザーヴィルヘルム記念教会[2007年9月]

投稿日時:2007/09/03(月) 13:15

あっという間に9月です。私のベルリンライフも9ヶ月目に突入しました!ベルリンでは最近毎日15度前後で、長袖1枚だけでは寒いくらいです。今年は短い夏でした。街中を歩いている人の服装もすっかり秋です。8月末からベルリンの学校は新学期が始まります。8月になるとどこのデパートでも “Schulbeginn” (英語のSchool starts)のポスターが貼られ、学校グッズでいっぱいになります。例えば、かわいい絵がついた文房具、日本のランドセルのような形をしたリュックサック、お弁当箱、、、などなど。ピッカピカの1年生です!
 
先週末は、カイザーヴィルヘルム記念教会(Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskirche)のパイプオルガンのコンサートに行ってきました。いつも観光客でにぎわっているクーダム(Kudamm)という有名なショッピングストリートにあり、初めて来た時から私のお気に入りの教会です。パイプオルガンやコーラスの無料コンサートが毎週末(時々平日にも)開かれるため、1ヶ月に数回訪れています。この教会は音楽だけでなく、建物にも圧倒されます。第2次世界大戦の空襲で破壊されましたが、戦争の悲惨さを伝えるため崩れた状態のままで残されているため、塔の上の部分がありません。日本では、戦争で破壊された建物は戦争の傷跡を消すかのように新たに全く別の建物に再建設され、広島の原爆ドームのように破壊されたままの状態を残すケースはほとんどありませんが、ドイツではカイザーヴィルヘルム教会のように壊れたままの状態で残す場合、戦争で破壊された建物を元通りに修復する場合(ex. ドレスデンの聖母教会)、壊れた部分を修復し、新しいファサードと組み合わせる場合(ex. ベルリンのライヒスターク)がほとんどです。今日はカイザーヴィルヘルム教会をはじめ、戦争で破壊された状態のままで残されている建物を紹介したいと思います。
 

  
 カイザーヴィルヘルム教会(左)・聖母教会(中央)・ライヒスターク(右)
 
カイザーヴィルヘルム教会は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世を記念して1895年に建てられましたが、1943年に空襲で破壊されてしまいました。戦後この教会を完全撤去する案も出たそうですが、戦争の悲惨さを忘れないように壊れた状態のままで残すことに決まりました。残された教会の内部には、建設された当時の教会の写真、戦争で焼け野原のベルリンの街の様子の写真、教会の遺品などが飾られています。教会の横には新たに、ドイツを代表する建築家のエゴン・アイアーマン(Egon Eiermann)設計で、1963年に正6角形の礼拝堂と正8角形の鐘タワーが建てられました。礼拝やコンサートは新しく建てられた礼拝堂で行われています。アイアーマンは教会の建物だけでなく、内装やイスも手がけたそうです。礼拝堂の中は、ほぼ360度ブルーのグラスで覆われていて、さらに黒い皮の木イスが円状に置かれており、とてもモダンな雰囲気をかもし出しています。礼拝堂に入り、暗い入り口を通り抜け、このブルーのグラスを見た瞬間あまりの美しさに言葉を失います。
 
   
 
  あまりの美しさに見入ってしまうブルーグラス
 
 
 アイアーマンがデザインしたイス(シンプルだけど、教会の雰囲気にとても合っています)
 
 リンゴのマークが描かれたキャンドル
 
 教会の中の床(水玉のタイルが埋め込まれています)
 
  教会の外の道も水玉模様
 
  教会外観(正8角形のタワー)
 
ベルリンにはもう1つ、カイザーヴィルヘルム教会とは別のメッセージ性を持った廃墟寸前の建物があります。たくさんのおしゃれなカフェやショップが並んでいるオラーニエン通り(Oranien strasse)にあるタヘレス(Tacheles)です。初めてこの建物を見た時、あまりの汚さ、そして落書きの多さに危険な空気さえ感じました。けれども、いかにも観光客っぽいおじちゃんやおばちゃんが次々に建物横にある中庭に入っていきます。勇気を振りしぼり、思い切って彼らの後について入ってみました。そしてまたまたビックリ!建物の裏側は、ガラスが割れている窓、落書きだらけでポスターがぐちゃぐちゃに貼られたものがはがれ、崩れかかっている壁、壊れたイスが置いてあるカフェ、車を改造して造られたキオスク?、そしてアートの数々、、、自分は一瞬どこにいるのか分からなくなる、そこだけタイムスリップしたような場所でした。建物の中は、昼間でも薄暗く、いまだに足を踏み入れたことはありません。でもこの建物、実はベルリンの話題の建物なのです!建物の歴史を調べてみたところ、1907年に大規模なショッピングモールとして建設され、その後電機メーカーのショールームとして使われ、1933年以降はナチスに占拠されていたそうです。第2次世界大戦の空襲の被害を受けましたが、建物全体は崩壊しませんでした。戦後、建物は使われないまま放置され、その後建物の大半は解体されましたが、ベルリンの壁崩壊後、1990年に若いアーティストが占拠し、最終的な解体が阻止されました。現在は建物の中に世界中のアーティストのアトリエ、バー、劇場、映画館などがあり、ベルリンのホットスポットとしてガイドブックにも載っています。
 

  
 
ベルリンでは壁崩壊後の大規模な都市再開発によりたくさんのモダン建築が建設され、都市も整備されましたが、過去の歴史と新しい文化が入り混じり、新たな形で歴史を伝えていく建物がたくさんあります。歴史の過ちを2度と繰り返さないようにメッセージ性を持った建物やメモリアルが今でも新たに建設し続けられています。今後もいろいろな視点からベルリンの建築を紹介していきたいと思います。 

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